「悲しきMPEG-2」でDVDレコーダーをめぐる戦いでWinに敗北した模様を描いたが、違う局面も眺めてみよう。MacでDVDレコーダーのデータを活用するには大きく2つの問題がある。
今回の作戦の目的は「DVD-RAMに録画したテレビ番組のCM部分をカットしてDVD-Rに焼き直す」ことである。(2カ国語放送の音声をきちんと処理できて無劣化だとカンペキ。)
前述の問題を乗り越えてこの作戦を完遂できんもんかと、試行錯誤の段階でいろいろソフトを購入したりもしたりしちゃったりした。それらをリストアップしておく。
身も蓋もないが、やはりMPEG-2を扱うならWindowsを使った方が幸せになれる。あるいは、最近のハードディスク内蔵高機能DVDレコーダーならレコーダー単体で処理しちゃった方が手っ取り早いかもしれない。
Pixe VRF BrowserとDVD Studio Proの組み合わせがなんとか目的を果たせるが、Pixe VRF Browserのできが良すぎてストレスがたまる。
劣化覚悟の方法としてDVDビデオのデータをDV形式やQuickTimeムービーに変換してFinal Cutなどビデオ編集ソフトでCMカットしてオーサリングソフトでDVD-Rにする方法がある。んが、これはMPEG2をデコードしてQuickTimeで再エンコードしたものを、またぞろエンコードしてMPEG2に戻すということである。特殊効果を入れるとか、他の画像と合成するといった目的がなければ、時間がやたらとかかるのでとてもじゃないがやってられない。
これらは、DVD-RAMに録画したトイ・ストーリー2をDV/QuickTimeムービーに変換するのにかかる時間を計ったものだ。1時間54分ほどの素材なのだが、2時間半〜9時間以上もかかっている。デコード、変換するだけでこれである。しかもToastによるものを除き変換結果は音声無し(AC3記録なので)。ファイルサイズは22.91GBにもなる。
Cinematize, GreatVideo!ではDVD-Video/MPEG-2の動画を「QuickTimeムービーとして取り出せます」と、サラッと書かれている。QuickTimeムービーとして取り出せるくらいだから当然MPEG-2ファイルとしても取り出せるだろうと期待した私がバカだったようで、そんなことはできない、ましてやDVD Studio Proで使えるようにエレメンタリストリームに分離してくれたりはしない。QuickTimeムービーとしても取り出せるのではなく、QuickTimeムービーとしてのみ取り出せるのである。
※Cinematizeはv1.03からMPEG-2エレメンタリストリームを取り出せるようになったようだが、VRフォーマットはサポートしていない。
ReadDVD!があれば何とかDVD-RAMディスクをマウントできるので、オープンソース系のMPEGツールでいいのが出て来てくれないかなあ、などと期待するのだが(再生だけならVLC media playerでできる)。とりあえず、Toast with Jamにより取り出されたデータは今回試した劣化覚悟の方法の中で唯一まともであった。
iMovie → iDVD や Final Cut → DVD Studio Pro のようにオリジナルDV素材をベースにしたDVD-Video制作ワ〜クフロ〜では快適なのに、なぜテレビ番組をDVD-Rに焼き直すくらいでこんなに手間取る?
きっと「MacをCM抜きのごとき無味乾燥な作業に使うてはならぬ、Macは本来のクリエイチブな用途に使え」ということだ。そうだ、そうに違いない。
無理矢理納得してみたけど、やっぱり悲しい。(T^T)
(2004-07-30/2004-10-17)
読者の川原さんから、MPEG Streamclipというフリーソフトがあるよとのメールをいただいたので試してみた。AC3音声もモニタしながら編集できるし、キーアサインもまともで、某社のソフトなぞに比べてはるかに使いやすい。2カ国語放送の音声(AC3 dual mono)も適切に処理できるようだ。ただ残念なことにAC3音声をチャンネル毎に別ファイルに分ける機能はないみたい。
とはいえ、ステレオ音声のMPEG2ファイルのカット編集にはもってこい、DemuxやConvertのパターンも多彩でなかなか使えそうなソフトである。ハードディスクレコーダのおともにピッタリではないだろか。
(2005-09-09)
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